大会レポート [ report ]

2023ロボットアイデア甲子園全国大会

2023年12月2日(土)10:10~16:30
東京ビッグサイト 東8ホールセミナー室(東京都江東区有明3丁目11-1)


「ロボットアイデア甲子園」は、全国の高校生や高専生、専門学校生など20歳前の若者を対象に開催するコンテスト形式のイベントです。地方大会を開催するのは、日本ロボットシステムインテグレータ協会に加盟している企業で、自社のロボットセンターや工場に設置している産業用ロボットシステムを見学してもらい、ロボットセミナーを実施します。参加者は、その体験から得た発想で産業用ロボットの新しい使い方を考え、プレゼンテーションでは発表します。イベントの目的は、若年層である参加者にロボットに対する興味を持ってもらうことで、将来のロボット人材となっていただきたく、そのきっかけづくりでもあります。

2023年度のロボットアイデア甲子園全国大会は、「2023国際ロボット展」会期中の会場「東京ビッグサイト」で開催いたしました。

 

東京ビッグサイトで開催

 

全国規模となった第1回目である、2019年度ロボットアイデア甲子園全国大会を、国際ロボット展の会場で開催しており、4年ぶりに同展示会内での開催となりました。実は、2021年度にも国際ロボット展での開催を企画し準備を進めてまいりましたが、開催直前に新型コロナウイルス感染症の爆発的な感染拡大を受け、止む無く中止を決定した経緯があります。

 

国際ロボット展エントランス

 

東8ホール案内板

 

2023年度は、北は北海道、南は沖縄まで全国21か所のセンターで地方大会を開催しました。

北海道大会、東北大会、群馬大会、栃木大会、茨城大会、東京大会、神奈川大会、甲信越大会、静岡中東部大会、静岡中部大会、静岡西部大会、愛知大会、岐阜大会、大阪大会、兵庫大会、中国地区大会、四国大会、福岡大会、熊本大会、南九州大会、沖縄大会の21センターです。

北海道では初めての、ロボットアイデア甲子園「北海道大会」を室蘭市で開催いたしました。初開催地域は、他に「甲信越大会」として、長野県、山梨県、新潟県で見学会を開催いたしました。まだまだ、開催会場がない地域もありますが、近隣県などで受け入れもしています。「東北大会」は、宮城県、山形県、岩手県で見学会を開催しました。昨年の広島大会では地域を拡大し「中国地区大会」として岡山県など近隣を受け入れて開催し、「四国大会」は初めて四国4県すべてで見学会を開催しました。昨年の鹿児島大会は「南九州大会」として宮崎県、鹿児島県も対象にしています。「熊本大会」は、佐賀会場でも開催をしており、そのほかのセンターも、近隣県の参加者を受け入れており、今年度の参加者は全国で1,187名と、過去最高の人数になりました。発表会の参加者は、全国合計で191名でした。

※地方大会レポート >>> https://robotkoshien.jp/reports/

 

地方大会では、1センターの参加者が100名を超えると、全国大会に2名の代表を選出することができます。2023年度は、東北大会、甲信越大会、静岡中東部大会、熊本大会から各2名の代表が選出され、全国大会には25名の代表が出場いたしました。

12月2日(土)は、国際ロボット展の最終日、会場には多くの来場者が訪れており、ロボットアイデア甲子園全国大会会場へ詰めかけ、150を超える席を用意しましたが、すぐに満席となりました。

 

全国大会会場入り口

 

会場入り口に詰め掛けた来場者

 

満席の会場

 

緊張感いっぱいの出場者

 

会場には出場者25名が緊張感いっぱいの表情で座り、審査選考委員メンバーも期待に満ちた様子。さあ、いよいよ開会です!
司会は、2022年度に引き続き、フリーアナウンサーの小沼みのりさんです。のびやかに通る声が会場に響きます。

 

司会の小沼みのりさん

 

開会挨拶は、名倉実行委員長(日本設計工業/SIer協会広報分科会主査)による掛け声「ロボットアイデア甲子園!!」で、右手を高く突き上げ、いよいよ開幕です。出場者も審査委員も、会場のすべての人々が大きく右手を上げました。

 

名倉実行委員長による「ロボットアイデア甲子園!」の掛け声

 

ご来賓挨拶は、経済産業省 製造産業局 産業機械課 ロボット政策室 室長 石曽根智昭様から、出場者への期待を込めた力強いエールを頂戴いたしました。石曽根様には、審査委員もお勤めいただきました。 

 

ご来賓 経済産業省ロボット政策室 石曽根室長

 

2023年度の審査委員は8名です。お名前のご紹介にご起立いただきご挨拶いただきました。
★審査委員一覧(敬称略)

 

審査委員の皆様

 

審査委員とともに、特別協賛企業から企業賞のご選考委員にもご来場いただきました。本年度の特別協賛企業賞は、9社にご設定いただきました。お忙しい中、会場にお越しいただき各企業賞のご選考にあたっていただきました。賞の授与者がご多忙の場合、選考委員/プレゼンターとしてご所属のご担当者にご列席頂きました。

★企業賞一覧(敬称略)

 

特別協賛企業、一般協賛企業、地方大会協賛企業はこちら (50音順)▼▼▼

【全国特別協賛】

川崎重工業(株)/ セイコーエプソン(株)/(株)ダイヘン / 東レエンジニアリング(株)/ 日進機工(株)/ ファナック(株)/(株)不二越 / 三菱電機(株)/(株)安川電機 / ヤマハ発動機(株)

【全国一般協賛】

アイズロボ(株)/ オリエンタルモーター(株)/(株)求人ジャーナル /(株)サンエイエンジニアリング CKD(株)/ ジェービーエムエンジニアリング(株)/ (株)四国銀行 / シュンク・ジャパン(株)/ 住友重機械工業(株)/ 大喜産業(株)/ 千代田興業(株)/ 東京ベルト(株)/ ミツイワ(株)

【協賛企業(全国/地方)】

協賛企業(全国/地方)はこちらから >>> 「スポンサー」ページへ 

 

 

2023年度の全国大会は、準決勝と決勝で構成しており、午前中は準決勝の「ポスタープレゼン」により、25名全員が、順に発表します。持ち時間はわずか80秒。この短い時間で、プレゼンの投影はポスター1枚のみです。発表会の会場の外、展示会場側のパネルにはこのポスターを掲示してあります。展示会場を訪れた人々は興味深そうにポスターを見て「これを高校生が考えたの?」と驚きの声を上げていました。

 

アイデアポスターの掲示

 

2023全国大会アイデア集(パンフレット)>>>  パンフレットダウンロード

 

審査委員はじめ会場の観覧者には、ポスターを印刷したパンフレットが配布されておりますが、80秒でどれだけアイデアの特徴や、優れたポイントを伝えるのは大変です。高校生、高専生、専門学校生など出場メンバーは、自分で考えたロボットの世の中での役割、利用価値や、考えるきっかけなどを、80秒で説明します。彼らは、やや緊張した面持ちながら、とても流ちょうに、時には笑いを織り交ぜて説明していきます。アイデア発表後には、審査選考委員から一言のコメントがありますが、これらコメントは大変愛のある、素晴らしいコメントでした。
残念ながら、前日にインフルエンザを発症した東京代表が欠席となり、24名の発表になってしまいました。東京代表のアイデアはポスターのご紹介のみ行われました。

 

真剣なまなざしの選考委員

 

委員からの愛あるコメント

 

アイデアを評価

 

アイデアに真剣に取り組む

 

プレゼンに聞き入る委員

 

アイデアを楽しみながら選考

 

準決勝24名の発表が終わり、審査選考に入ります。
審査は非常に難航しました。8名の審査委員の配点の結果、上位10名が僅差により決勝進出を決めました。惜しくも決勝進出を果たせなかった皆さんのアイデアも素晴らしく、本当であれば欠席者も含め、全員の決勝プレゼンを見たかった、と、委員の皆様で話し合っておられました。
企業賞選考委員の皆さんも、自分のお気に入りのアイデアを3候補選定し、決勝戦を見守り、最終選考を行います。

 

審査室の様子

 

決勝進出10名の結果を待つ、出場者控室は緊張感でいっぱい、今か今かと結果発表に耳を傾けます。10名の発表を聞き、ガッツポーズする人や残念そうな表情を浮かべる人、午後の決勝戦へ向けて緊張する人、様々な表情が見られました。

 

準決勝結果発表の代表控室

 

さあ!決勝大会のはじまりです。
午前よりも多くの見学者で会場は満員御礼です。

 

決勝大会スタート!

 

決勝に進出した10名が順に、5分間のプレゼンテーションを披露します。どのアイデアも新しく、ユニークで社会や家庭で役に立つ内容で、様々な工夫を凝らしています。またプレゼンテーション資料はどれも大変凝った内容で、3Dアニメーションなどを多用しています。さすがは、デジタル時代に育っている若者です。また、どの代表も、話術が素晴らしく、聴衆の興味を引き付け、笑いを織り交ぜながらアイデアの特徴、ポイントを表現していきます。審査選考委員からは、プレゼン後に質疑応答がありますが、ここでもかなり高度な内容のやり取りが見られました。委員の面々も、アイデア内容に引き込まれ、ついつい専門的な知識で質問やアドバイスを行うなど、見ごたえ十分な決勝大会となりました。

 

質疑にも力が入る委員

 

アイデアへの質問も

 

思わず身を乗り出して質問

 

アイデアへアドバイスする委員

 

決勝大会アイデア発表のプレゼン10名が終了し、最終審査に入ります。審査室では委員の配点結果を確認しながら、各賞をきめていきます。選考委員も各企業賞のコンセプトから、それぞれの押しアイデアを企業賞として選考。審査室は、和気あいあいとした雰囲気の中、アイデア発表への賞賛や感嘆の声が止まりませんでした。

 

審査室は和気あいあい

 

企業賞の行方は・・・

 

表彰式は、特別協賛企業賞の発表から始まります。
賞は全9賞、決勝進出を果たせなかったアイデアからも選考されました。提供企業(50音順)に発表、受賞者がステージに呼ばれ、各社のプレゼンターより、賞状と副賞を授与されました。

 

★川崎重工業(株)「カワサキ賞」戸篠俐恵瑠さん 
ネコロン〜異次元の少子化対策ならぬ子育て対策〜
(大阪代表 大阪府立市岡高等学校)

カワサキ賞戸篠さん

 

★セイコーエプソン(株)「エプソン賞」伊藤美柚さん 
「誰でも使えるリハビリロボ」
(兵庫代表 武庫川女子大学附属高等学校)

エプソン賞伊藤さん

 

★東レエンジニアリング(株)「TRENG CHALLENGE 賞」原島まゆみさん
「ノボルる キュン」
(群馬代表 群馬県立太田工業高等学校)

TRENG CHALLENGE賞原島さん

 

★日進機工(株)「日進機工ユニークで賞」岡村卓磨さん
“YoRisOi-友達になれる人間洗浄ロボット-
(中国地区代表 岡山県立岡山朝日高等学校)

日進機工ユニークで賞岡村さん

 

★ファナック(株)「ファナック賞」WILAIRATANAPORN TINさん
Expeditioner
(甲信越代表 国立長岡工業高等専門学校)

ファナック賞TINさん

 

★(株)不二越「不二越賞」佐々凱音さん
“rescue spider-命を救え 救助蜘蛛-“
(東北代表 国立仙台高等専門学校)

不二越賞佐々さん

 

★三菱電機(株)「三菱電機賞」唐金美羽さん
「新しい空港のリーダーZOO
(南九州代表 鵬翔高等学校)

三菱電機賞唐金さん

 

★(株)安川電機「みらいロボット賞」内藤朱里さん
“HAKOBOK~運ぶ+ROBOTBOOK
(岐阜代表 国立岐阜工業高等専門学校)

安川電機みらいロボット賞内藤さん

 

★ヤマハ発動機(株)「Revs your Heart賞」加藤已稀さん
VEST NA RESTROOM(極上なトイレ)」
(静岡西部代表 静岡県立浜松湖北高等学校)

Revs your Heat賞加藤さん

 

続いて、日本ロボットシステムインテグレータ協会からの賞の発表です。プレゼンターは、日本ロボットシステムインテグレータ協会 久保田会長が務めます。
ドラムロールが鳴り響き、まずは「準優秀賞」発表です。

 

★日本ロボットシステムインテグレータ協会「準優秀賞」藤原大惺さん
「緊急AEDドローン」
(愛知代表 愛知県立半田工科高等学校)

賞状とトロフィーと、協賛ロボットメーカからのロボットフィギュアの副賞を授与されました。藤原さんは、プレゼンテーションではAEDドローンの模型を作って持参し、発表資料では実写の動画を使って、アイデアの活用法を再現していました。

準優秀賞藤原さん

 

いよいよ最後に「最優秀賞」の発表です。長めのドラムロールが会場の緊張感を高めて、さあ発表!!

 

★日本ロボットシステムインテグレータ協会「最優秀賞」鍋島優羽さん
Ramen Robot ”大将
(熊本代表 国立熊本高等専門学校)

賞状とトロフィー、たくさんの副賞のロボットフィギュアが授与されました。鍋島さんは、大好きなラーメンを世界中に広めたくて屋台式のロボットを考えました。産業用ロボットアームによる湯切りを再現した動画を披露して、高い評価を受けました。

最優秀賞鍋島さん

 

なお、企業賞受賞者を含めた全員に、「日本ロボットシステムインテグレータ協会 奨励賞」を授与、賞状と記念品を贈呈しています。

 

表彰式後は、佐藤審査委員長(東京大学名誉教授)による「総評」をいただきました。
素晴らしいアイデアの競演に対して心からの賞賛と、受賞アイデアへの高い評価とともに、賞を逃した方々への激励が心を打ちました。生徒さんたちもじっと聞き入り、また次のアイデアを考えるパワーにしたようです。

佐藤審査委員長総評

 

閉会の言葉は、日本ロボットシステムインテグレータ協会奥山副会長により行われました。全ての参加者、関係者の皆様方への深い感謝をこめ、本大会の終了を宣言しました。そして、2024年度大会開催へむけ、皆様方のご参加、ご協力をお願いしました。

閉会挨拶

 

最後に、全員の集合写真を撮影しました。全員が素晴らしくキラキラした笑顔です。
ご参加、本当にありがとうございました!!

全員集合

 

みんなでガッツポーズ!